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玉田の恩人

October 12th, 2015
(c) Honda Motor Co. Ltd.

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2015 MotoGP 第15戦 日本GP。今季でMotoGPから活動を休止するブリヂストンにとって、休止前最後の日本GPとなった。MotoGPプロジェクト発足から14年間。ひとまず「お疲れ様でした」という言葉を贈りたい。

その14年でブリヂストンが2輪世界最高峰のMotoGPで揚げた勝利数は156。だが、その156勝はわずか11名のライダーでしか挙げていない。その11名のライダーの中の唯一の日本人が玉田誠である。

Tamada 2003玉田は2003年からMotoGPにフル参戦。参戦2年目となったブリヂストンと契約をし、叶った夢だった。まだ経験の少ない両者にとって、試行錯誤した開発。ともに苦労をした。時にはぶつかり合ったこともあった。だが、それは「世界制覇」という同じ夢を追ったからでもあった。そして、この年のリオで両者にとって、初の表彰台を獲得した。

2004年。マックス・ビアッジと同じ、キャメル・ホンダに移籍した玉田とブリヂストンはさらに進化を遂げる。リオで初優勝を果たすと念願であった日本グランプリでポールトゥフィニッシュを達成した。日本人ライダーがMotoGPで優勝したのはこれ以降ない。

(画像提供: 本田技研工業)

(画像提供: 本田技研工業)

このブログでも以前書いたように(「玉田を成長させたブリヂストン」)、玉田がブリヂストンとともにした2年間は彼をライダーとして成長させた。そして、近年は若手育成に力を入れている玉田だが、ブリヂストンとの2年間で養った知識が指導者としても力になっている。契約上、詳細は言えないが、玉田は昨年からMotoGP車両用の某パーツメーカーの開発ライダーを務めている。これもブリヂストンとの2年間があったからこそ、出来ている仕事である。

そんな玉田は2005年、ブリヂストンからミシュランに変更をした。玉田は当時のことを振り返るといつも出てくる言葉は「後悔」。「あの時は未熟だった。他のライダーの挑発に乗り、メーカーを変えてしまった。山田さん(山田宏、現株式会社ブリヂストン グローバルモータースポーツ推進部課長)があんなに引き止めてくれたのに、自分の愚かさから、タイヤメーカーを変えてしまった。本当に山田さんやブリヂストンには申し訳なく思っている。」と言っている。

実際、玉田は2005年以降、ブリヂストンとギクシャクした関係が続いた。その悪化した関係が徐々に雪解け始めたのが、2010年に玉田が鈴鹿8耐に出場した頃からだった。玉田はこの年、Kohara Racingから鈴鹿8耐に参戦。チームがブリヂストンユーザーだったため、Hondaは玉田と契約をする前に、ブリヂストンに玉田を起用することに問題がないかという事を確認をしている。ブリヂストンは快諾をして、玉田の参戦が決まったという経緯があった。玉田は山田さんが快諾してくれたことを聞いた時自分に、「本当にありがたい。普通だったら許してもらえないことをしてしまったのに」と言っていた。それから、玉田とブリヂストンと関係が再開。今ではこのことも冗談で言い合うことのできる関係まで修復された。

BS Talk Show 2015その玉田が、山田さんから連絡が来たのが、夏の終わるころ。「MotoGPのトークショーに出演してほしい。」と連絡あった。玉田はもちろん快諾をし、そのトークショーに出演をした。レースウィークの金曜日の早朝、ツインリンクもてぎに向かう車中で玉田は「今朝のトーチュウみました?」と聞いてきた。この日の東京中日スポーツの紙面に「忘れられない玉田のV〜BS最後の母国GP」という記事が掲載されていた。内容は山田さんがブリヂストンがWGPにタイヤ供給を始めた1991年から現在までの思い出を振り返る内容だった。その中で一番忘れられないのが玉田と初優勝を果たした2004年のリオGPだということが書かれていた。玉田はとても嬉しそうに、このことを伝えた。

土日に渡り、2回行われたこのトークショー。朝にかかわらず、多くのファンが詰め寄せた。そして日曜日に開催された2回目のトークショーの最後に、MCから「玉田さん、最後に一言お願いします」と言われた玉田は、「山田さん、本当にありがとうございます。今の自分があるのはブリヂストンと山田さんのおかげです」と声を震わせながら言った。普通の挨拶にも聞こえるが、自分にはとても深い言葉に聞こえた。

Tamada@BS 2015実は日曜日に玉田はもう一つブリヂストンのイベントに出演している。パドック側に設営されたブリヂストンのVIPや招待されたゲストのみが使用出来るホスピタリティテントで株式会社ブリヂストン代表取締役CEOの津谷正明社長の挨拶があり、そこに玉田がスペシャルゲストして登場をした。会場には玉田がMotoGPで2回優勝したトロフィーが飾られていた。登壇した玉田は、MCのQ&Aの形でトークショーが行われ、最後の質問が「玉田さんにとってブリヂストンとはなんですか?」だった。玉田は躊躇せずに「僕の恩人」ですと答えた。

Tamada@BS 2015

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